角であたしにぶつかったとき

全く怖がらなかった、あの男。

「ほんとは楠見じゃなくて、東雲(しののめ)

なんだけど、君ならわかるよね?」

そういうことか………!

ー東雲組。それは大榎組のライバルで

親同士もライバルなのである。

東雲泰介は東雲組の番長だ。

あたしを怖がらなかったこと、

どこかで見たことあると感じたこと、

ヤンキー慣れしてると感じたこと、

全てが繋がった。

「東雲っていうとバレちゃうからさぁ。

やっぱりファーストコンタクトって、

大事じゃん?」

ニヤリと笑ってあたしの顎を掴んで

クイッとあたしの顔を上げた。