「お母さん、変なこと言いませんでした?」

仁人はあたしの向かいに座りながら言った。

「ううん。優しいお母さんだね。」

あたしはふっ、と笑う。

仁人は目を見開いてあたしを見た。

「…なに?」

「いや、やっぱり桜良さんは笑顔が

1番似合ってるなって思ったんです。」

「え…………」

笑顔が似合うなんて、初めて…。

仁人は周りの人が言わないことを言う。

「何言ってんの!勉強しよ。」

って本当は嬉しくて照れて仕方ないくせに

誤魔化すあたしは本当に可愛くない。

それでも仁人は

「そうですね。」

と言って無邪気な笑顔を見せた。