「仁人…、あの子は昔から友達が少なくて

私心配だったの。昔から休みの日も

家でずーっと本読んだりしててね。

だから私、今日こうやって女の子のお友達が

来てくれたこと、本当に嬉しいわ。

困った息子ですけど…仁人をよろしくね。」

仁人のお母さんは笑顔であたしに言った。

「はい。もちろんです。」

あたしも笑顔で返答をする。

「おまたせー…ってあれ?お母さん、

なんでいるの!?」

参考書を両腕に抱えて仁人が戻ってきた。

「あらあら、邪魔しちゃだめね。

ごめんなさい。」

ふふっ、と笑って仁人のお母さんは

和室から出て行った。