あたしと仁人は2人っきりになった。

…どうしよう。みんな、帰らせちゃったけど

今朝あんなことあったし

話せないかもしれないのに。

「…桜良さん」

あたしはビクッとして振り返る。

「じ、仁人、あんた学習しなさいよっ。

前もウロウロしてたんでしょ?

用があるならインターホン押しなよ!」

仁人の言葉を遮るようにしゃべる。

「へへ…そうですね、すみません。」

仁人はこんなことがあった後も

無邪気にあたしに笑うんだ。

その笑顔は変わらなくて、すこし安心した。

「…で、なんか用?」