遠くからあたしを見る………仁人の姿が。

ヤバ……………………。

あたしが喧嘩ばっかのヤンキーってことは

知ってただろうけど、それを仁人には

見られたくはなかった。

喧嘩してる人なんて、絶対嫌に決まってる。

あたしはその場で固まってしまった。

「………桜良さん?どうしました?」

奈津は心配そうにあたしの顔を覗き込む。

「…ごめん。帰る。」

カバンが学校内にあることも忘れて門を出た。

「…ホントに、最悪。」

人通りの少ない裏道を歩きながらぽつりと

つぶやくけど、そんな声も静寂の中に

消えてしまう。

あたし、今までこんなに弱くなかった。

誰になんと言われようと思われようと

この「ヤンキー」という道は避けられない、

そう思って生きてきた。

だから、周りなんてどうでもよかった。のに。