紛れもなくそれは涙だった。先輩は涙を流して泣いていた。
どうして泣いているのか私には全く分からない…。
ジッと笠井先輩を見つめていると、私の存在に気付いたのか、先輩と目が合ってしまった。
「~~~っ!?」
目が合った途端、思わず私は入り口のドアに縮こまり、隠れてしまった。
自分から勝手にドアを開けておきながら隠れるってどういう事だ…!
と、心の中で叫んでいた。
「…」
しん…と空き教室と廊下の間に長い沈黙が続く。
なんだか気まずいので、コッソリ立ち去ろうかなと思った、その時。
「…何か用?」
空き教室の中から、低い微かな声が聞こえた。
