サアアアアアアッ_______…

「わっ…！」

空き教室のドアを開けた途端、カーテン越しから強い風が吹き、私は思わず声が出てしまった。私の髪が大きく揺れた。

教室の中を見渡すと、筆や絵の具などの画材が散乱しており、全て閉めてあるカーテンで部屋は暗かった。
そして、その中には…、
大きなキャンバスに向かって筆を動かしている男子生徒がいた。

あれが、笠井先輩…？
あまり顔が見えないが、スラリとした高身長で黒髪。よく見るとシャツのところどころが絵の具の色で汚れている。

閉まったカーテンの隙間からチラリと覗く太陽が、笠井先輩を照らしている。
そして私はあることに気が付いた。

笠井先輩の頬にキラリと輝くもの。
それは…ー、

「…泣い、てる…？」

ポツリと私は呟いた。