好きじゃないはずだった

ひまだ。



時計はもう22時をまわった。

いつもならこの時間はまだ恭介の家にいる頃だし。


お父さんは単身赴任だからいない。




はぁぁ。






ピロン♪





ん?なんだろ





え、千颯?






「なあ、電話すっぞ」


は??




ピロリロリンピロリロリン♪



なに!ほんとに電話・・・





「も、もしもし」


「なんでこねーんだよ」


「いやー、ごめんね。ちょっと体調崩しちゃってー」


「ほんとか?」


だめだ。千颯の声聞いたら・・・



「・・・っうっ」



「なに。」


「ごめん、きる・・・ね・・・っ」



「泣いてんのか。」


「泣いてないし!ばっかじゃないの」


「あっそ。」


「ん、ばいばい・・・」


「下見ろ」


「は?」




がちゃん






自転車を止める音がして





まさか・・・









「泣いてねーし」





「泣いてんじゃん。やっぱ」




「なんできたの。」



「お前こないからさ。カニグラタン作ったのに」


「ごめん。」



「なんかあったの」



「ううん。なにも」



「じゃー帰るわ」



「まって・・・」



はっ、何言ってんのあたし。





「降りてこいよ」




会いたかった。とにかく誰かに会いたかった。それが友達でも、幼なじみでも、そのお兄ちゃんでも、会いたかった





「・・・うっ・・・なんで・・・なんでくんのよっ・・・」


「心配だった」


「なんなの、ばかでしょほんと・・・」



「いまなら貸してやる。」


そう言って長い腕を広げた千颯の胸に



すべておしつけた






お互いに腕をまわしたりしなかったけど、でも。落ち着いた。て