好き 好きだ 喉まで出掛けて、すんでのところで慌てて飲み込む。 こんなにこの言葉を言いたいのは初めてだ。 言っちゃいけない。 全部なくなる。 今の穏やかな幸せも、 かけがえのない友情も、 恋で得られる喜びも切なさも、 私の言葉ひとつでなくなる。 「晴…は、離して…」 「……」 なんで… 離してくれないの…? 力を抜いていた両腕を晴の背中に回した。 晴が悪い。 今回ばっかりは、謝らないよ。 「ねぇ晴」 「好きだよ」