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「つ、着いた…」
少しペースを上げたら、30分ほどで先ほどまでいた浜に到着した。
すぐにスマホを置いておいた石階段に近づく。
暗いから、ほぼ手探り状態だ…。
「あった!よかった…」
なんとかスマホを探り当て、立ち上がると、
だいぶ目が暗闇に慣れていた。
月明かりがあるからか。
結構電灯がなくても見えるものなんだな…。
さっきまで騒がしかったのに、急に静まり返った海はとても不気味だ。
結構怖いものだな…夜の海…。
おばあちゃんやゆかりが心配するし、早く戻らなきゃ!
自転車を駐めておいた方に戻ろうとすると、
波の音に混ざって、水の跳ねる音を聞いた気がした。
その時、なんでその音を聞き取れたのかはわからない。
終始、波と虫の声で騒がしかったはずなのに。
夕方見た真っ赤な空よりも日常から浮いたものが、
またもう一度、波を蹴った。
「は…る……」
まるで発光しているかのように、
それは私の目をくらませた。



