竜宮城に帰りたい。




***


「つ、着いた…」


少しペースを上げたら、30分ほどで先ほどまでいた浜に到着した。


すぐにスマホを置いておいた石階段に近づく。

暗いから、ほぼ手探り状態だ…。


「あった!よかった…」


なんとかスマホを探り当て、立ち上がると、
だいぶ目が暗闇に慣れていた。


月明かりがあるからか。

結構電灯がなくても見えるものなんだな…。


さっきまで騒がしかったのに、急に静まり返った海はとても不気味だ。


結構怖いものだな…夜の海…。


おばあちゃんやゆかりが心配するし、早く戻らなきゃ!



自転車を駐めておいた方に戻ろうとすると、

波の音に混ざって、水の跳ねる音を聞いた気がした。



その時、なんでその音を聞き取れたのかはわからない。



終始、波と虫の声で騒がしかったはずなのに。




夕方見た真っ赤な空よりも日常から浮いたものが、

またもう一度、波を蹴った。




「は…る……」




まるで発光しているかのように、

それは私の目をくらませた。