竜宮城に帰りたい。




みんなが遊び疲れる頃には、名物の夕陽が空いっぱいに広がっていた。


いつ見ても、ここの夕陽は綺麗だ。

空一面真っ赤なのって、一瞬ドキッとする。

いつもと違う世界にいるような、
もしくはいつもの世界の終末にいるような…。


なんてね。
馬鹿馬鹿しい。




「みんな、そろそろ帰ろうで〜」

「せやのぉ」


みんな気だるそうに立ち上がると、それぞれの自転車にまたがり、
あっさりとした挨拶でそれぞれの帰路に別れた。



私とゆかりは朝同様、祐くんと晴……「って、あれ?晴は?」

私たちの横には、祐くんしかいない。

「用事あるげなで。」

「用事…」

「なんか用?」

「うぅん。別に…」



「ほんだら帰ろー。」

祐くんはゆるーくそう言うと、朝よりゆっくりと自転車をこぎ始めた。


やはり風が気持ちいい。


毎日こんな感じなのかな、ここは。

なんか羨ましい…。

って、なんでそんなこと思うんだろ。

私には私の毎日が東京にあるはずなのに…。

私の日常は「あっち」なのに……



あ。

「携帯、忘れた…。」


「へ!?」


それを聞いた祐くんは慌てて急ブレーキをかけた。


道のりの8割ほど来たところで、私は浜の石階段に置きっぱなしにした携帯の存在を思い出した。