「てゆうか、お前、
浦島太郎て…めちゃめちゃ似合とるやん。」
晴は相変わらずバカにしたように見下して笑った。
そんな笑顔さえもいとおしくて、つい顔が緩む。
「べ、別に私が決めたわけじゃないし……
それより!晴はなんで東京にいるの!?」
「あぁ。東京の大学受けるって決めたけん、
三連休やし、オープンキャンパス見に来たんや。
ほんだら、お前のばあちゃんが文化祭やってるって教えてくれたんや。」
「そうなんだ…。」
「え、澪ちゃん!その人誰!?」
その時、
上がりきった幕の中から、乙姫役の子が私たちを見つけて叫んだ。
「えっ…!」
「もしかして彼氏!?」
「ち、違っ…!」
「え、澪ちゃん彼氏いるの?」
私の言葉はゴシップ大好き女子たちの声にかき消され、
私たちはあっという間に囲まれてしまった。
「カッコいい人だね!!」
「他校生?」
「文化祭見に来てくれるなんて優しい~!」
「えっと、その…」
私は質問攻めに圧倒され、言葉を失った。
なんか、これデジャヴ…
晴の学校でも、こんな風に祐くんとの関係を詰め寄られたような…
「友達や。」
私の混乱も無視して、
晴はきっぱりとそう言いきった。