「"あー、今日も暇だなぁ。"」
晴への怒りで緊張は大分軽くなり、
私はお腹の底から声を出すことができた。
私の台詞を発端に、
村の子供たち、亀、海の魚たち
いろいろな役のクラスメイトが舞台に上がる。
演技に夢中になるにつれて、
私の緊張もほどけていった。
「"浦島さま。どうかこの玉手箱をお持ちください…"」
劇の終盤、乙姫は切なそうにそう言った。
「"ありがとう。"」
そして、乙姫はにっこり笑う。
本当に?
それでいいの?
連れていってほしいんじゃなかったの…?
私は思わず乙姫役の女の子の手を握った。
あ。しまった…
その子も驚いたように私を見上げた。



