「…なんで…」

瑞季ちゃんの目には今にも溢れそうな涙が溜まっている。


「やっぱり…
最近澪ちゃんとなんかあったんやろ!
私に隠して、仲良うなって…」

「せやけん、さっきちゃうって言ったやろ。」


さっき瑞季ちゃんが怒ったのはそのことだったのか…。

でもそれはとんだ勘違いだ。

仲良くなるというか、フラれただけだし。


「じゃああたし、なんか悪いことした!?」

「そなんことない」

「ほんだら、やっぱ澪ちゃんが関係してるんやろ!
それしかないやん…。」

「……」

「なんで!!こなんいきなり来た子に!!!」



「俺、乙姫なんやて。」


「は?」


思わず会話を聞いていただけの祐くんが聞き返した。


「笑えるやろ。
澪が浦島太郎で、俺乙姫。」

「何言っとん?
今そなんこと言っとる時やない…」

「そー思うな?お前ら」


みんな晴の空気の読めない発言にただ沈黙するだけだった。


「ははっ…やっぱな。」

「それとあたしと別れることとなんの関係あるん!?」

「合うとんねん。」

「っだから!!」

「寂しがり屋の乙姫なんや」

「…寂しがり…?」


瑞季ちゃんは溜まっていた涙を頬に落とし、
晴の真意を探った。