屋上から飛び降りた男性を見てから1週間後

痴夜ちゃんはいつも通り登校してきた。

済まし顔で。

何事も無かったかのように


河崎さんと二人で

もちろん同じクラスの生徒からの視線は冷たくて鋭い。

私なら耐えられない。

でも痴夜ちゃんは耐えている。

本当に不思議だ。

河崎さんはいつも通りに接しているし、

愛梨朱は生徒と同じく冷たく鋭い視線を痴夜ちゃんに送っている

「ねぇ、妄海(モカイ)さん、カフェのことなんとも思ってないの?」
そういえば痴夜ちゃんの苗字、妄海だったっけ。

「カフェ?ああ、八夜と一緒に来てたところか。」

「だ〜か〜らッ!!犯人を潰そうとしたのでしょう!?」
リーダー格の子は、大変なのかな。

「そうだったっけ?」

「とぼけないで下さる!?」

「・・・そんなに叫ぶと喉枯れるよ。これあげるから舐めてね」

「はぁ?のど飴?妄海さん、ふざけていらっしゃるの?いい加減にして下さるかしら?」

「ふざけて無いよ。痴夜ちゃんはいつでも冷静だもん!カフェで一緒にいた八夜が言うんだから、間違いないよっ!」
河崎さん、元気だなぁ、

「河崎さんまで何を言うの!?」

「だって本当のことだもん!」
ぷくっとほっぺ膨らますとか、小学生みたいだ・・・
少し和むなぁ

「証拠はあ」
キーンコーンカーンコーン

タイミング良すぎのチャイムだ。

「フッ、今回は見逃してあげるわっ!でも、次は容赦しませんからね!よろしくて?」

「・・・勝手にすれば?」

「んなっ!?」

「♪」
相変わらず河崎さんはスキップしてる・・・


一時間目:国語


国語担任「えーと、15ページを開いて、河崎さん、呼んでください」ニコッ

「ふぇ!?八夜!?」

国語担任「そうですよ。河崎さんです」ニコッ

「え、えっと、昔々あるところにシンデレラという女の子が居ました。」

国語担任「河崎さん、誰もシンデレラを読めだなんて言ってませんよ」ニコリ

わははははは

教室が笑いに包まれた瞬間だった。

そのまま順調に一時間目は終わり、特に問題も無く1日が終わった。
はずだったのに

「妄海さん、ちょっとつきあってくださる?」

「別にかまわないけど・・・なに?」

「ここだと話しずらいわ。場所を変えましょう?」ニコッ

「作り笑顔下手だね。逆に尊敬するよ」万円の笑

「なんですって?」
怒り出しちゃったみたい。八夜、帰った方がいいかな?

「さぁね。私は八夜と帰るよ。じゃあね。」
スタスタと、教室を出ていった

「あ、痴夜ちゃん待って〜!!」
タタタタタッ

「痴夜ちゃん、大丈夫なの?」

「私は平気だけど、なんで?」

「だってだって、あの人偉そうにしてるし、見てるだけで疲れちゃうもん!」

「・・・それは八夜だけでしょ」

「え、ひどいよ〜!!」

「早く帰るよ。」

「あ、うん!」