―――夕方。


西日が強くなり、カーテンを閉めようと立ち上がった私。
8人分の大部屋で、窓際のベッドだった。


「………いてくれたのか」


ぼんやりと目を覚ました先生が。
妙に気弱な言い方に、


「帰ってもよかったんですけどね」


ちくりと言ってみる。


「…あいつは…」


「あいつ??」


「さっきのイケメンだ」


「お店のお得意様です。この病院にお勤めの先生だったんですね」


「医者か……ふん。気に入らねえ…」


「素敵な人ですよね」


窓の外を見ながら。


「まさか惚れたんじゃねえだろうな?!」


「どうでしょうね」


無表情に振り向いて小首をかしげてみる。


「先生の隠し子も発覚したことですし。ちょうどいいじゃないですか。私ばっかり不公平です」


「あのガキがいたじゃねえか!!」


「隠し子とはレベルが違います」


舌打ちすると、


「だから!!」