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「気管支炎と肺炎を起こし掛けてましたね」


休憩から戻るところだったらしい神崎さんが、先生を診察室に運んで診てくれた。


「そうなんですか」


結局先生は、緊急入院する形で、空いていた病室に入って、薬で眠っている。


「ご結婚されたんですね、おめでとうございます」


穏やかに微笑む顔。イケメンだ。
好きとは違うけれど。


「ああ、はあ……ありがとうございます」


お客様とこんな形で再会したことが、不思議な気持ちだった。


「椰原さんのファンだったんですよ。てっきりあの青年、布勢くんでしたっけ??彼とお付き合いしてるものとばかり思ってました」


「ああ……」


なんとも言えない複雑な心境だ。知ってるんだもんな、いろいろ。


「ゆっくり養生するようお伝えください。困ったことがあれば相談にも乗りますし」


「…ありがとうございます」