「バカ違えよ!!兄貴の子供だ!!」


「はっ……??お兄さん、いましたっけ???」


なんといい加減な記憶だ。
我ながら呆れる。


「お前を始めに診察した後、院長が変わってたろうよ。あれが兄貴だ一回り上の」


いた。
そうだあのときの。


いきなり入れ替わった白髪混じりの紳士だった。名札が高居で間違いじゃなかったんだ。


「俺と違ってクソ真面目で年より老けてたから分からなくても仕方ねえけどな」


「じ、じゃあ、先生は」


「至らなかったんだよ、そこまでは」


頭を掻きながら、


「……………お前じゃねえと、………ダメだったんだよ」


耳まで赤くなる。
こんな顔するんだ。


「てめえこそ……あのガキと……どこまで行ったんだ」


言いたくなさそうにゴニョゴニョと、だんだん声が小さくなる。