おまけにだ。
家に帰るとドアの前で布勢くんが三角座りで待っていた。
夜も更け、
また、小雨が降り始めていた。
「…布勢くん」
声にぴくりと反応して、上げた顔。その目は潤んでいた。
捨てられそうな子犬みたいとはこういうのをいうのか。
「……果奈さん……俺諦めらんないです」
抱き着いたその体は、冷えきっていた。
何時間ここに居たんだろう。
「とりあえず、入ってよ」
中に入れるのも、無下に帰すのも。どちらも酷な気がした。
―――苦しい。
胸が。
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