「えっと、私はただの自転車屋で……」 ひりひりする頬を押さえて、なにがなんだか分からない状況に動揺を隠せずにいた。 まさか。 「高居の妻です」 うわっ!! 修羅場だ!! 今度こそ!! いや待て、修羅場か!? 状況的に別居中ってこと!? いやいや、っていうか、先生とは何でもないんだし。 修羅場っていうのとも違う気が。 何だかよく分からない。 「あなたのことは写真で見ました」 「しゃ、写真……???」 何の話だ。