「……昔いた整骨院の受付嬢だ。ロッカー開けて、いつの間にか合鍵作られて。ときどき留守中に物色されてた」


さすがに警備員が来るので、一旦玄関に入れて、ようやく部屋着の白いスゥエットに着替えた先生。


「別に、わざわざ言い訳しなくていいですよ。でもよかったですね捕まって」


「未遂でいいんじゃないですか??実被害はないんですよね」


「甘いんだよ」


「だいたい、思わせ振りなんじゃないんですか??」


「そうなんですよっ!!」


ふて腐れて上がり口でデニムで胡座をかいていた彼女、新居彩葉(ニイ アヤハ)さんは、わかるでしょうとばかりに食い付いた。


「然り気無く手を触ったり、肩に手を置いてみたり。勘違いするでしょう?!」


「でしょうね」


「納得するな。犯罪は犯罪だ」


「許してあげればいいじゃないですか。自業自得ですよ」


「ああ!?てめえはどっちの味方だ!?」


「もちろん彼女です。むしろ詐欺師で訴えますよ。前科何犯ですか」


「……前科」


「あっ、私は騙されてませんけどね。好きじゃないので。ただの自転車屋です」


あっけらかんと応えた。