ほら、そこにうってつけのクローゼットが。


反射的に自分から隠れようとした私。


「何で隠れる。いろってんだろうが」


訳がわからない。
意味がわからない。


「開ける訳ねえだろ、ストーカー女」


「ええっ!?」


舌打ちすると、
素早くドアロックを外して女の人の腕を掴んだ。


ベージュのトレンチコートが雨に打たれてずぶ濡れだった。


すごくきれいな艶々のロングヘア。スタイルも抜群で顔立ちの整った、モデルみたいな美人だ。
私なんか比べ物にならない。


それなのに。


「鍵、返せ。勝手に合鍵作りやがって」