暖房は付けてくれていたので暖かかった。濡れた店名入りのジャンパーを脱いでハンガーに掛けてみた。


細やかな抵抗だった。
乾かないだろうな、この程度では。


ズボンも微かに濡れているのがわかった。気持ち悪いけどさすがに脱げないし、座るのは気が引けた。


「……悪い冗談ですよね??」


恐る恐る、軽くシャワーを浴びて出てきた先生に。


「何が」


「警備員にどうのとか、……帰さないとか」


「冗談言ってどうなる」


涼しい顔で返された。


「いや、どうなるって」


「ま、逃げられなくはなるわな。お前の性格からして」


バスタオルを片手にバスローブ1枚で、ソファに腰掛ける。