と、腕を引き寄せられて強引に唇を塞がれる。


周りにいたお客様が、ひゃあっ、と声にならない悲鳴を上げる。


「なにを…?!」


今更ながら、とはいえ。
みんなの前でなんてことを!!と慌てて押し離そうともがく。


けれど、思った以上に力が強い。いや、ふざけていない。本気だこれは。


「…もう離さねえ。いや、離しませんよ。今しがた婚姻届は出してきました。彼女のことは誤解です。はっきりしました。結婚して頂きます」


婚姻届を出してからプロポーズ!?
と周りが呆気にとられる。


けれどそんなことはお構いなしだ。


「もうこの際、貴女の気持ちはどうでもいい。僕の心は貴女だけのものです」


すうっ、と息を整えると、


「もう他の男に渡しません。二度と離しません。結婚して頂きます」


「………うう」