夕暮れどき。 なんとか自力でベッドから出て、トイレから帰ろうとしたとき。 ふと吹いてくる風に気づいた高居。 見ると、非常階段の方からで、少しドアが開いていた。 「…危ないじゃねえか。不用心だな。誰か落ちたらどうするんだ」 閉めておこうと近づいたとき。 囁く声が耳に入る。外からだ。 「………だめ。誰か来たら」 「誰も来ないよ」 うふふ、と笑う声。 どこかで聞いた覚えのある声だ。 ―――まさか。 ドアノブに手を伸ばし、開けてみた。 「………あっ…」 女と目が合った。