「…ごめん。」
「待ってたよ。シゲの言葉。…私ね……本当は結婚しないの…。」
「へっ…?」
思わぬ桃の言葉に
俺は口に含んでいたコーヒーを
吹き出しそうになった。
「結婚しないってどういうことや?!」
すると
桃はニコっと笑って…
「だーかーらー、やーめーたーのっ!だって、好きじゃない人と結婚しても幸せになれないでしょ?」
「それは…どういう…?」
「ったく、本当に鈍感だよねシゲって。…つまり、私はシゲのことが好きだってこと!小林さんとはとっくの昔に別れたの!結婚するっていう話も嘘!」
「は?…せやって、おばさんとオカンが…。」
「本当にシゲってアホだねっ。それは、いつまでも私とシゲがくっつかないからって、うちのお母さんとシゲのお母さんがシゲにハッパかけたんだよー。」
「なんやそれーっ!!!なら、俺はまんまとそれに引っかかったってことやんな?」
「そういうことっ♪」
桃に詳しく話を聞くと
3年前のあのとき
確かに
桃は小林さんと付き合ったらしい。
だけど、あの小林のヤローは
かなりのくせ者で
桃と付き合ってからも
すぐに会社の別な子に手を出して
かなり好き放題やってたようだ。
そして
そんな男だと分かった桃は
付き合ってすぐに別れたらしい。
ホンマ…小林のヤロー…
あのアホ
いつかどっかで会ったら
顔の一発や二発
殴ってやらなあかんな。
それにしても…
俺はまんまと踊らされたってわけか。笑

