「先生に嘘つくなんて、100年早い!
なーんてな!」


「..........先生.........」


「じゃあ、先生としてじゃなくて、渡辺幸汰として聞く
だから、肩の力抜いて、気楽にして?」


「......私、1人なんです」


「たしか、母子家庭だったよな」


「はい。でも、母は私の学費を払うので忙しくて、ほとんど家に居ないんです」


「そうなのか......」


「だから、私は、高校を卒業したら、就職して、母に恩返しがしたいんです!」


「.........白石、それは違う
何故親が子供のために働いているか分かるか?」


「自分の子供は、育てる義務があるから......?」


「まぁ、それもそうだな!
『子供に笑顔で居てほしい』
『子供に楽をさせてあげたい』
『学校に行って欲しい』
親によって違うかもしれない
でも、親は子供の事を自分より大切に思ってるんだ」


「でも.........!」


「白石、1回、お母さんとゆっくり話してごらん?
そして、白石の本当の気持ちをしっかり伝えて、お母さんの気持ちをしっかり聞きな」


「私に、そんな勇気、ありません.........」


「やっぱり、恐いよな。自分の気持ち伝えるのは......
そしたら、初回サービス!
先生が、一緒に居るよ
そしたら、話せるか?」


「............はい」


「よし!えらいえらい」



そう言って、先生は、私の頭を撫でた


その手は温かくて、とても大きかった


先生の心のように──────────