「じゃあ、俺こっちだから」
「あ、うん」
もう、お別れか。
ほんのちょっと寂しい気がしたけど、そんなのは気のせいだと自分に言い聞かせる。
だって、おかしいでしょ。
高木くんとは今日初めて喋ったし……。
「じゃ、また明日」
「あっ……うん! またね」
そうだ、また明日も学校で会えるじゃないか。
そしたらまた、こうやって話せるはず。
遠ざかって行く高木くんの背中を見つめながら、ぼんやりとそう考える。
────1ページも進んでいなかった私の物語が、やっとプロローグに差し掛かったような気がした。
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