「すごいね!」
素直に出た感想だった。
この反応が意外だったのか、高木くんは「え?」と顔をこちらに向けて、驚いているようだった。
「それって、賞に応募したりとか?」
「ま、まぁ、何度か」
「すごいじゃん!」
「言っておくけど、入賞なんてしたことないからな?」
「それでもすごいよ。だって、私には書けないもん。きっと途中で飽きて投げ出しちゃう」
自分でもその姿が安易に想像できて笑ってしまう。
高木くんは照れくさそうに私から視線を逸らすと「ありがとな」と小さく呟いたのが聞こえた。
「そっかー、雨が降ってたから雨の漢字が並んでたんだ」
「そんなとこ。授業中暇だったから書いてた」
「え……」
授業中に暇ってあるっけ……?
私の中で高木くんは第一印象から真面目で優等生なイメージが付いて回っていたけど、わりとそうでもないのかもしれない。



