「あっ」
「わっ!?」
廊下へ出た瞬間、誰かとぶつかりそうになった。
「ごめんなさい!」
咄嗟に謝ってから顔を見ると、そこに居たのはたった今追いかけるはずだった高木くんだった。
高木くんは少し驚いた様子で「いや、大丈夫……」と言いながら、視線を私の手元にやった。
もちろん私の手には例のノート。
「あっ! これ、忘れ物! 届けようと思って」
一瞬眉間にしわを寄せた彼を見て、慌てて押し付けるような形で返す。
「ああ、どうも……」
「ううん!」
「これさ……」
「な、なに?」
「中身見た?」
「っ……えっ? な、なんで?」



