『嘘だよ。
樹に会いたい。
樹の笑顔が見たい。
樹とずっと一緒に居たい。
樹の側に居たい。
辛いよ。
立派な奥さんになるように、学校は辞めた。
それに、習い事も増やした。
綺麗になるようにした。
でもね、旦那さんは樹みたいに優しくなかった。
樹の優しい声で、優しい笑顔で褒めて欲しいよ。
「麗咲、頑張ったね」って。
でも、もう樹は、私の事なんか忘れちゃったよね。
ねぇ樹。
私、ちゃんと彼女出来てた?
私、樹の事、ちゃんと愛せてた?
私の事、少しでも好きで居てくれた?
こんな事、目の前で聞いたら、困るだろうと思って、全部手紙に書いてみた。
ごめんね
ごめん
本当に、ごめんなさい
この恋は、叶わないって、最初から分かってたの
でも、諦めきれなかったよ。
だって、歳を重ねる毎に、樹はカッコよくなっちゃうんだもん。
だから、私は、幼馴染みっていう武器を使って樹の事、縛ってたかもしれない。
私も少しは大人にならないとね。
樹、助けて。
手紙を書いてるだけなのに、涙が止まらないよ。
こんなに好きなのに、伝えられないの。
樹が大好きなのに、大嫌いになろうとしてる自分が、1番嫌い。
私、この前、夢で事故にあったんだ。
樹が子供を助けて車にはねられそうになるの。
ここで助けたら、樹とまたやり直せるんじゃないかって思って、助けたんだけど、上手く行かなかった。
それから、ずっと同じ夢を見るの。
私、本当に事故に合っちゃうかもしれない。
でも、その時は、絶対に泣かないで。
樹は、いっつも仏頂面だけど、笑うと可愛いんだから!
折角カッコイイんのに、幸せそうじゃなかったら、勿体ないよ!
私は、辛い時に隣で笑顔で居てくれる樹が大好きなんだから!
どんな時でも、人に優しく、前を向いて!
私は、ずっと、樹の味方だから。
樹の事を誰よりも愛してる、麗咲より』