麗咲「樹!」


やっぱり、麗咲は、来るんだよな


でも、今来られたら、歯止めが効かなくなる......



「私、樹のこと、もっと知りたいの!」



「樹、待って!!」


『グイッ』


前より、力強いけど、少し弱々しい


「何だよ、俺に構うな」



「樹のそんな顔、見たくない!
そんなの、樹らしくないよ!」









「...俺らしいって何だ?

伊集院財閥の跡取りとしてか?
それとも、幼馴染としてか?
麗咲の求めてる俺は、誰なんだよ......」







最悪だ。



こんな惨めな姿を麗咲の前で見せてしまうなんて。


これだったら、世界中の人達に見られた方がマシだ。









───────『ぎゅっ』




気が付くと、俺は、麗咲で埋め尽くされていた


内側だけではなく、外側も。




「私、樹とずっと一緒に居て、ずっと好きだったけど、今の樹は、嫌い」



「じゃあ、離せよ......」


これ以上話したら泣いてるのバレる......




「今の樹は、私にも、皆にも嘘付い
てばっかり!
樹の本心は何処にあるの?
私は、どんな樹でも、受け入れる
準備は出来てるよ?
樹は、私をお嬢様じゃなくて、1人
の女性として受け入れる準備は出来
てるの?」





麗咲は、俺が思っている以上に強くて




優しい人になっていた



だから、俺は、もう逃げない