──── 放課後


「なぁ、本当に行くのか?」


「えぇ!もちろん!」


こんなにワクワクしてる麗咲を見たのは久し振りだ


麗咲は、早くに母親を亡くしてから、ずっと1人で耐えてきた


皆は知らないけど、俺は知っている




「なぁ、どこまで歩くんだ?」


「ここら辺のはずなんですけど......」


「あっ、あれか?」


そこを初めて見た時は、
『ここは、豚小屋か?』と思ったが、麗咲が喜んでいたので、なにも言わなかった



「失礼致します」



中は、とても庶民的で、そこにひっそりと作業をしている人がいた


「あれ?あの、会長ですか?」


「あぁ、こんにちは。
間違ってはいませんが、元会長です」



その人は、男でも憧れるオーラのある人で、宗にも勝っていた


しかし、物腰が柔らかく、後輩の俺たちにも敬語を使っていた




「あなた達は、1年生ですか?」


麗咲「はい!」


「ご挨拶が遅れて申し訳ありません。
僕は、陶芸部の部長の佐々木(ささき)と申します。
部長と呼んで下さい。」


「私、見学に来た、新條麗咲といいます。よろしくお願いします。」


「伊集院樹です。」


部長「じゃあ、説明しますね」


麗咲「はい!」




俺はこの時、陶芸部に入りたくなかった


ここに入ったら、麗咲がこの人のことを好きになってしまいそうだからだ