道路の曲がり角で、バイクを停めた




樹「......宗か.........」




その場所を見る目は、とても愛しげ(カナシゲ)だった




「あの、ここは...?」



「......2年前、大切な人が、ここで事故にあったんだ。今は、昏睡状態」



「えっ.........」




衝撃的過ぎて、言葉が出てこなかった



「彼女は、俺を庇って事故にあったんだ」





樹さんは、涙を堪えている



その姿は、とても美しかった......


「......お腹には、婚約者との子供ができてたんだ」



「それって......」






──── 丁度2年前、日本の有名な財閥の一人娘の方が、交通事故で意識不明の重症で、お腹の中の子が亡くなったというニュースがあった。


しかも、その人には、樹さんではない、婚約者がいた










「.........俺たち、付き合ってたんだ......」




───私は、とんでもないことを聞いてしまったのかもしれない────