あたし真山涼は至って普通の女子高校生だ

部活に入ってなければ
まぁ普通にオシャレもしただろうし
流行りを追いかけたりもしてたはずだし
恋愛だって相手がいればなおさら
まぁこれはあたし個人の話だけど

男女の付き合い方だってわかってる
その中の情報だって人並みに知っているし
というより学校の教育でも当たり前にやる事だ

中学の時に仲良くなった片瀬さんは
男バスの白石先輩と付き合っているし
今、同じクラスの原田は他校に彼氏がいる
そんな2人と喋っていると必然的に話は
そんな方向へと変わっていく
別にそれ自体恥ずかしい事だなんて思わない
好きあってるなら当たり前の事だし
テレビやアニメでだって普通に流してる

だからあたしだって当たり前に興味をもつ
でもあたしの場合は
その相手が同性になってしまう
つまりあたしは女の子に対して
そんな感情を抱いている


世の中はそんな人間に
セクシャルマイノリティなんて言葉をつける

でもあたしは自分がそうだとは思っていない
つかそんなカテゴリーで括られたくはない

男が女を好きになるように
女が男を好きになるように
あたしは普通に女であって女が好きなだけだ
だから女の子が恋愛の対象となる


そんなあたしにも奇跡的に彼女が出来て
その彼女は中学から同じ部活の先輩で
もちろん今まで着替えるのも一緒だったし
合宿所で一緒にお風呂に入った事もある

でもそれは好きになる前の話であって今は違う

まだそんな関係にすらなっていないのに
一緒にお風呂に入らないといけない訳で

これがどうして平常心のままいられるだろうか
さっきまでは普通だったのに
いざ、意識してしまうと見られる事にも
抵抗を感じるし見る事なんて
なおさら無理ゲなお話

これがあと5日も続く事を考えると
あたしには地獄だと言われる
合宿練習メニューの方が楽に感じた

そんなあたしの心情を知るはずもなく
彼女は今までと変わらずに涼しい顔して
風呂場へ入っていく

自分の忍耐のなさを痛感した合宿初日だった