あたしは茅野さんに抱きつかれて
そしてそのまま彼女を抱きしめてしまう
いやでもその前に

〈かなりヤバい事したよな‥しかも2回‥

頭が冷静になっていくと
自分のした事が恥ずかしくなってくる
意識し始めた途端に心臓が波打つ

さっきまで全く気にならなかった
蝉の声や雑音が耳に入ってくる

彼女の体温が自分に伝わるのがわかる

〈これって喜んでいいのかな?
でもちゃんと好きだって言ったよね

あ、あの‥

その声に茅野さんはあたしの腕の中で
飛び上がり急に離れてベンチで背中を強打する

あっ!!

いったっ!!

背中押さえながらひざまづいた
涙目の茅野さんは顔が真っ赤になってた

〈ダメだ!クソ可愛いわ!

‥大丈夫ですか?

‥うん平気

立てます?

あたしは茅野さんの手を取り立たせて
彼女のスカートについた砂を払う

涼も凄いよ

茅野さんはそう言いながら
あたしのおしり辺りを指さす

うわ!本当だ!
慌ててスカートについた砂を払う


‥さっきの何?

へっ?
あたしはスカートを払いながら
茅野さんに視線をうつす

だ、だからさっきの‥

下を向いてモジモジする茅野さんを
見てたら意地悪をしたくなってくる


ああ!茅野さんが黙ってくれないんで!

はっ?いやだからって!

別に付き合ってるなら普通じゃないんですか?

あたしのその言葉に茅野さんは
目を丸くした

‥‥付き合ってるの?


違うんですか?

ち、違わない!!

食い気味で肯定してくる
茅野さんは凄く可愛かった

ならいいでしょ?まぁ‥あたしは
好きだと言われてないですけど??
少し不腐れたように言ってみた

なっ?!

いつもあんなに冷静で怖い茅野さんが
あたしの言葉に焦ったり、顔を赤くする
なんか別の扉が開きそうだった

いやもう開いた


涼が男じゃなくてもいいっていったでしょ?

ちゃんと言ってくれないと
わからないです

涼‥なんか性格違わない??

そうですか?普通ですけど?

小さくため息をつきながら
茅野さんはまたベンチに座る
今度はあたしも横に座った

そんなに積極的だったっけ?
茅野さんはあたしを横目で見ながら聞く

んー先輩と思ってないからですかね?

何それ?先輩じゃなかったらなんなの?

‥彼女ですかね

その言葉にまた茅野さんは赤くなった

〈あ、ダメだ!クセになるわコレ

本気なの?

やっぱり冗談だったんですか?

違うよ!
そう言いながらあたしの方へ体を向ける

あたしは本気ですよ
本気で茅野さんの事が好きです
体を向けて茅野さんを見つめた

‥あたしも涼が好き‥です

あ、もっかい抱きしめていいですか??

えっ?

〈まぁ返事なんて聞かないけど

付き合ってもらえますよね‥?
茅野さんは腕の中で小さく頷く

あたしに人生初の彼女が出来たのは
高1の夏休み直前だった