たとえばモラルに反したとしても

 やがて唇を放すと、艶を含んだ瞳で蜂蜜を塗ったような甘さで告げた。

「ねえ、いいんだよ、アミのこと……抱いても」

 言いながら圭祐のシャツの裾から手を入れる。

 冷えたアミの手にゾクリと鳥肌が立つ。
 胡座をかいている膝の上にアミが座る。
 怪我していない方の手をつかんだアミが、自分の胸へと誘導した。

「アミ……」

 圭祐は相変わらずの冷めた声でアミを呼んだ。

「圭祐君……」

 吐息に熱が籠もる。
 アミは圭祐の肌の熱を楽しむように無心に胸や背中へと手を這わせる。
 その度にゾクゾクした感覚が背中を這い昇り、圭祐の心をざわめかせた。

「圭祐君……好き……大好きなの」

 愛らしい声で告げられたら、きっと男なら誰だって耐えられない。

 それでも圭祐は動けない。

 アミが自分から押しつけてくる柔らかな胸の感触に、情動が湧き上がるけれど、それでも圭祐は自分からは動かなかった。

「ねえ、圭祐君、初めてなの?」

 どこかに揶揄を含んだ声のアミが誘う眼差しで見上げてくる。
 触れてくる手がもう体温に馴染んで冷たくなんてない。

「いいんだよ? アミは圭祐君になら全部あげるから。ね、触れて」

 無理やり圭祐の手を自分の制服の中へと差し入れて、アミはキスをしてくる。

「……アミ」

 囁くような圭祐の声にキスをやめたアミが、妖艶に笑いかけた。

「圭祐くん……」

 媚びを充分に含んだ言い方のままアミは圭祐にのしかかるように体重を掛けてくる。
 ゆっくりと背中をベッドに預けながら圭祐は瞳を伏せて告げた。