たとえばモラルに反したとしても

「カバンも放り出したままで、拾ってみたら僕の学校と同じで、ほら、中に名前をちゃんと書いていたからね、僕なら連絡を取れるんじゃないかって店長が持ってきたんだよ」

 びっくりしたよ、宮野さんのだったし、と三好は軽く言った。

 けれど、桐華は喉の奥に小さな骨が引っかかった時のような鈍い痛みと不快を感じている。

 それはさっきの三好の言葉。
 さらりと流されてしまった話。


 ――私が……誰に襲われていても……気にしないの?


 分かっているくせに、そんなことを考える自分が惨めたらしくてイヤになる。

 そんなことを気にする訳がない。

 公園にカバンを届けてくれた時だって「合意?」なんて聞いてきていたくらいだから、きっとどんな男にでもほいほいと体を許すような軽い女だと思われている。

 三好にだって、命令するように、出会ったその日に……

 今日だって。
 今だって。


 三好に触れたくてしかたない。


 抱きしめて、さっきみたいに髪を撫でて欲しいって思ってる。