たとえばモラルに反したとしても

 三好の腕に包まれながら桐華は呆然としていた。


(来て……くれたんだ……)


 驚いて声も出ない。

 ウソみたい。

 震えるほど……嬉しい……

 誰かに会えて震えるほど嬉しいと言う気持ちを、自分がもつことになるなんて信じられなかった。

「どうして……」

 どうして来たの?
 本当に来てくれたの?

 優しく抱きしめていた腕をほどくと三好は桐華の顔を覗きこんだ。

「お姫様の命令を、憐れな下僕は断れませんから」

 笑う三好にまた不覚にも泣きそうになる。

「我が姫は制服のままだ。帰ってからそのまま寝てたの? お腹空いてない?」

 そう言われれば、夕方にドーナツを一つ食べたきりだった。

「今、何時?」

「十一時過ぎ」

「昨日より……早いね」

「まあね」

 ベッドから立ち上がった三好が桐華に手を差し出した。

「何か食べに行く? 駅前のファミレスでいい? 実は僕もちょっとお腹空いてる」

 三好の差し伸べた手に桐華は胸が高鳴る。