たとえばモラルに反したとしても


 その途端、胸が詰まった。

 桐華自身、なぜそうなったのか分からない。

 ただ三好の声を聞いた途端に、涙がせり上がってきて、今、返事をすれば止めどなく涙が溢れそうだった。

『あれ? ……宮野さ~ん。宮野さんだよね? 聞こえてる?』

 何も言わない桐華に不思議そうな声音で三好が聞いてくる。

 このまま返事をしなければ切られてしまいそうで、桐華は喉の奥でくぐもった声のまま返事をした。

「……聞こえてる……」

 ボソッと告げると、三好はしばし沈黙を落とした。

 シンと互いのスマホが静かになる。

 えっと、と少しだけ迷ったような声で三好が話し出した。

『宮野さん、今、どこにいんの?』

「どうし、て?」

 喉の奥に引っかかる。

 三好の屈託の無い声が桐華の我慢を削いでいく。


 泣きたい。
 幼子のように声を上げて泣いてしまいたい。


 胸の中が翻弄されて、自分の事が分からなくて、拒絶したくせに一人が寂しくて、どうしていいのか分からなくて泣いてしまいたい。

『ねえ、今、どこ? 早く教えて』

 まるでワガママな子供のダダのような言い方の三好。

 桐華はその言い方に抗えずに居場所を告げた。