胸に込み上げる何かに気づかないふりをして冷えきったベッドに潜り込む。 ーーートントントン 小さくドアをノックする音が聞こえた。 何も聞きたくない。 「お兄ちゃん、入るわよ」 静かな世界は脆い。 朝までが、酷く長い。