「へぇ。そんなことが」


「はい。その後暫くのことは記憶がぼんやりしていて…… 多分生ける屍のようになっていたのではないか、と」


「あらあら。でももう、乗り越えたってことよね?」



「そう、思っていただけるならきっとそうなのでしょうね」



「ふふっ そうね。大丈夫。人は辛いことを忘れて生きていくものよ」


「……ワタシは忘れたくない、んですけどね」