中村はケースごと、時計をベッドの上に忘れていった。 音のしないスムーズな秒針だけが、間違うことなく一定方向に時を刻んでいく。 どうすることも出来なかったそれは今、私の机の中で来るかどうかも分からない出番を待って眠っている。 時計の隣に並んだもう一つの箱 細長いネイビーのケースの蓋を上げると、あの日から変わらない姿のネックレスがキラキラと輝いている。 これも未だに、日の目を見たことはない。