「出目金なんて庶民的ね」

「ホント。もっと高級そうなのかと思った」



セレブって不思議。
あっ、でも、ひょっとしたらその出目金も値段はお高いのかもしれない。



「意外に人懐っこいそうよ。エサあげる時とか寄ってくるって言ってた」


「へぇー」

「ますます意外」


聖の言葉に振り返った。


「だって、副社長は頑固で怖い人だって話だしさ」


「怖い?」


どういう意味?


「冷血漢…って聞いたことない?容赦ないところがあるって…」


「まさか」


金魚飼ってるイメージとは違うじゃん。


二人して真綾を振り返った。
私達の視線を受けて、彼女がフッと笑う。


「どうなの、真綾?」

「ホントに怖い人?」


気になって聞いてみた。


「うーん、まぁ当たってるところもあるかな。家でもオフィスでもあんまり喋らないし、話しても怒ってるような感じの時もあるし」


そうは言っても広い家だから殆ど顔も合わさないのが実情だけど…と加える。



「子供の頃も結構荒れてたらしいよ。悪そうな人達とも平気で付き合ってたって」


「それってヤンキーだったの?」

「元暴走族だったとか?」


「まさか、そこまでじゃないわよ」


私達の言葉に笑いだす真綾。
セレブがヤンキーというのも、おかしいと言えばおかしい話だけど。