『ごめん!土曜日はインテリアコーディネーターの試験日!』


資格集めを趣味にしてる聖は、泣きながら謝るウサギのスタンプを押してきた。


『いいよ。こっちこそ急に誘ってゴメンね』


ぺこりと謝るクマ付き。


ダメ元で真綾を頼る?
でも人妻だし。



(できるワケないよ……仮にも社長夫人なんだから)


休みと言えども暇な時なんて少ないって言ってた。
取引先とのパーティーやレセプションに呼ばれることも多いって。



(仕方ない。こうなったら一人で頑張ろう)


普段の自分じゃない格好して行ってみよう。
昨夜みたいな自分でいたら、言えないことも言えるかもしれない。



(…またあのメイクするのか…)


鏡を見ろと郁也に言われた。
あんたに言われるまでもないって、あの時言ってやれば良かった。


そうなると服はどうする?
あの派手なメイクに合う服なんて、私は持ってないよ。



「……真綾に借りる?」


またしても似合わない格好するのか。
でも、これが最後だからいい。


ビーサン返しに行こう。
それから、向こうがくれるって物は拒否しよう。



「1週間、気が重い……」


やっぱり散々な週末。
週が明けたらどんな日が待ってることだろう。



(どうか何もありませんように……)


玄関先に置いてたビーサンを手にして部屋へ上がった。

クリアホワイトの鼻緒が付いたサンダルは、蛍光灯の下で見ると、まるでガラスの靴のように光ってた。