ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

「今はキスだけで我慢する。でも、その後は約束しねぇけどな」


向きを変えられて言い寄られた。
背中に手を回されてるから、逃げるなんてとてもムリ。


「吃りグセなんて治すなよ。誰とでも平気で話すケイなんて見たくねぇ」


近づいてくる瞳に驚いて目を閉じた。
瞼の裏には、あの夜の景色が浮かんでくる。



(大輔…さん……)


幸せに包み込まれてると感じた。
これからもこの人の腕の中にいたい。



「好き……」


唇を離された瞬間呟いた。
この一言で貴方を癒せるんなら何度だって言おう。



「ケイ……」


心を込めて呼んでくれる人がいる。
ぎゅっと握り合った手の平から伝わってくる熱。

無くさないようにしたい。
もう二度と薄れさせたくない。




「抱いて…」


なんて大胆なことを言うんだ、私は。



「えっ」


大輔さんが驚いてるし。


「い…いいのか?」


ウソだろって顔してる。


「い…いい…。大輔さんのものに……なりたい……」


金魚なんかで代用しないで。
貴方の指先を吸うのは私だけにして。


「面喰らうなぁ」


そう言いつつも離そうとはしない。
膝の裏を抱え込んで、ベッドの上まで運ばれてしまった。


「初めて知ったよ。ケイがこんなにいやらしい女だって」


首筋を軽く吸い付かれて、ビクッと背中を仰け反った。


「私も……初めてなのに…驚いてる……」