ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

そう言いながら伸びてきた指先がキュッと唇の端を掠めた。

ドクン…と胸が鳴り響き、指先についたタレを舐める男を見つめた。


「うん、旨い」


満足そうに納得すると、前に並んだ料理に手をだし始めた。


「あんたも食べろよ。このタコ焼きのタコは明石産のだと言ってたぞ」


産地名を話しながら爪楊枝を刺してる。

そのうちの一つを口に入れ、弾力を確かめるように噛み砕いた。


「コリコリしてる!旨い!」


なんて嬉しそうな顔をするんだ。
そんなクシャクシャな笑顔を見せられたら味が気になってくるじゃないか。


ネイルアートされた指先で細い楊枝の端を摘んだ。
湯気で踊るかつお節が、ソースの香りを引き立たせている。

コロンと口の中に放った。
生地の柔らかさの中に紅生姜の辛味が効いてる。



「ホント!美味しい!」


タコの味もいい!
かつお節の旨味も絡んでソースとの相性がバツグン!


でも、待ってーー


「このタコ焼きも焼き鳥も、値段高いんでしょ?」


どう思っても金魚すくいに使ったお金だけで買えるとは思えなくなってきた。


「1本500円以上するんじゃない!?こんなにたくさんの料理頼んで、払った以上の金額になるんじゃないの!?」


この量ヤバいよ。
食べた後で倍返ししろなんて言われても困るし。


「そんな高くねぇよ。焼き鳥は1本200円だったし、タコ焼きは150円だったかな」