(このまま離れてしまってもいいの?今夜から連絡こなくなることも考えられるよ。そんなの耐えられるの?)


切羽詰まったように響く心の声。
それはダメだと思うのに、追いかける勇気もなくてーー。



カクン…と力が抜けてしまった。
座り込む様な感じでしゃがみ込んでしまった。




(やっぱり……私は情けない……)


好きな人を癒すことも励ますこともできない。
失望させて困らせて、しょげさせてしまうだけの存在。

轟さんとの恋は祭りの夜に成就したかの様に思えたのに、あれはやっぱりその場限りの雰囲気に流されただけだったんだ。



(現実なんて、甘くないのよ……)


お尻をアスファルトにくっ付けて脱力した。
ベージュのコットンパンツの下からジワジワと伝わってくる熱。


今日の私は着飾ろうともしなかった。
適当に服を選んで、簡単にメイクをしただけだった。

カレシに会えるというのに心も弾まず、重く引きずりそうになる気持ちを抱えて待ち合わせの場所へ向かった。

思い出してみれば彼は、最初から私が浮かない顔をしてるのに気づいてたのかもしれない。

それを感じながらも、ここへ連れて来れば気が変わるかもしれないと信じたんだろうか。

何かあるなら話して欲しいとずっと思ってたのかもしれないのに。

なのに、私がそれすらも話そうとしないから呆れた。


背中を向けられた。
好きな人に………



「……うっ」



ポトンポトン…と、大粒の涙が落っこちた。