ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に

「皆いるか?」

「あっちに集まってるぞ」


指差す方向を確かめて向きを変える。




「大ちゃんキター!」


若い女性の声で迎えられた。


「純香(すみか)の声デカっ!」


笑いながら集まってる人の方へ近寄る。


「今日は女連れか?」
「誰だ、誰だ?」


集まってくる男性陣。
まじまじと見つめられる視線に気づき、ドキンと胸が弾んだ。


「彼女なんだ。仲間に入れてやろうと思って連れてきた」


こっちはそんなの頼んでもないけど。


「うっそー!彼女!?」


「すみか」と呼ばれた女性が、わざわざ近づく。


「止せって」


庇うように後ろへ隠された。


「いいじゃん、減るもんじゃなし」


ブーブー言いながら除き込む。


「ケイは人見知りなんだ!」


止めろ…と突き放す。


「人見知り!?大ちゃんの彼女なのに!?」


驚かれてしまった。
初対面だというのに、なんて遠慮のない人だ。



「それ以上絡むな」


低音ボイスが響いたかと思えば、アッサリ体を引き離された。
ぷぅっと頬を膨らませ、「すみか」という女性は席に引っ込んだ。


「ごめんな。悪気はねぇから許してやって」


スキンヘッドの男性がニヤリと笑う。
チラリと目線を上げてみれば、鼻にも唇にもピアスがある人で……


(な…何者!?)


警戒心丸出しの猫みたいになってしまった。
ギュッと背中を握るから轟さんは可笑しくなってきたようで。