聖や真綾に心配かけてもいけないと思うから話せなかった。
だから、当然轟さんにも虚勢を張った。


『新しい部署はどうだ?』


水曜日くらいに様子を伺うメッセージが送られてきた。
ゴクン…と喉を鳴らし、送り返した言葉はコレ。


『大丈夫。頑張ってます!』


大丈夫なもんか。
助けてと言いたいくらいに緊張ばかりしてる。


『そうか』


相変わらずスタンプとか付けてこないんだよね。


『週末会えそうか?』


少し間が空いた後、流れてきたメッセージ。
会うと弱音を吐き出しそうで仕方なかったけど。


『多分』


曖昧な返事だったと思う。
なのに、日時と場所を指定された。


『土曜日の11時。寿神社の前で待つ』


私の体調とか都合とかお構いナシなのね…と溜息。
気が重くなりながら『OKです』と送り返した。

ホントはウキウキするべきなんだと思う。
彼の方からも好きだと言われ、両思いなんだという自信が持てた。


でも、やっぱりそこには違いがあって、私はどこへ行っても灰かぶりで、彼はやっぱり副社長でーーー



考えながらゆっくりと着替えをして家を出た。
飾らなくても良くなって気楽だけど、その分張り合いも減ってしまった。

部署を変われば自分が変わっていけるような気がした…けど、何も変わらないのが現状。


いずれにしても同じ。
何をやっても、私はお姫様には向かない……。